
「ビジョナリー・カンパニーって何? ビジョナリー・カンパニーってどんな特徴があるの? ビジョナリー・カンパニー1と2の違いって? 経営学ってなんだか難しそうだな…」
こういった疑問に経営学修士(MBA)の著者が答えます。
結論
ビジョナリー・カンパニーとは未来志向を持っている米国の超一流企業企業18社で、ビジョナリー・カンパニー2は急に飛躍し、高業績を長年継続した企業11社です。詳細は本記事にて解説します。
本記事の参考文献
本記事の内容
ビジョナリー・カンパニーとは

ビジョナリー・カンパニーとは「ジム・コリンズが選んだ、未来志向を持っている米国の超一流企業企業18社」のことです。※1950年以前の設立の企業が対象なのでGAFAは入っていません。
企業名 | 業種 | 代表的な商品 |
3M | 複合企業 | 付箋を開発 |
アメリカン ・エクスプレス |
金融業 | アメックス |
ボーイング | 航空宇宙 | ボーイング787 |
シティコープ | 銀行業 | シティバンク |
フォード | 輸送用機器 | フォード・モデルT |
GE | 複合企業 | エジソンが照明を発明 |
HP | 情報・通信 | パソコンシェア世界1位 |
IBM | IT産業 | IBM PC |
J&J | 医薬品・化学 | バンドエイド |
マリオット | サービス業 | リッツカールトン |
メルク | 医薬品・化学 | プロペシア |
モトローラ | 情報・通信 | 衛星通信 |
ノードストーム | 小売業 | 大型百貨店 |
P&G | 化学 | ファブリーズ |
フィリップ |
たばこ | マールボロ |
ソニー | 電子機器 | ウォークマン、プレステ |
ウォルマート | 小売業 | 世界一のスーパー |
ウォルド ・ディズニー |
エンタメ | ミッキーマウス |
ビジョナリー・カンパニーの特徴

スタートアップ時に、すばらしいアイデアや戦略はいらない
- HP社はヒューレットとパッカードがガレージで会社をつくり「まずは電気料金を払おう」と手当たり次第やるところから事業は始まりました。
- ソニーは井深大氏と7人の社員がどんな商品をつくるか話し合い、布に電線を縫い付けた電気座布団などで日銭を稼ぎました。
- J&Jは「妻が包丁でケガをして外科用テープにガーゼを張り付けてみた」という社員のアイデアから「バンドエイド」を開発しました。
基本理念が一貫しており、流行に左右されない
18社共通の基本的理念は存在しなかったらが、18社共通で「理念を突き通している」ことがわかりました。
「我々の究極の作品は、オシロスコープや電卓でなく、HP社とHPウェイという経営哲学だ」といいます。
カルトのような文化
ディズニーランドは「ミッキーマウスの中に人が入っている」と公に認めていなかったり、スタッフ全員がその世界観に共感しており、カルトに似ている文化があります。
①理念への熱狂、②教化への努力、③同質性の追求、④エリート主義という点ではカルトと同じです。しかしカルトと違う点は個人崇拝ではなく、基本理念に共感していることです。
社運をかけた大胆な目標に挑戦
14/18社が「社運をかけた大胆な目標に挑戦」を行っています。
ボーイングは爆撃機専用メーカーでしたが、社運をかけてジェット旅客機ボーイング707を開発し、業界トップとなりました。
生え抜きの経営陣
ビジョナリー・カンパニーは経営者を育成する仕組みを持ち、優秀な経営陣の継続性が保たれているため、経営陣は生え抜きが多いようです。
ビジョナリー・カンパニーの特徴 |
アイデアなしで始めた会社は多い |
まったく必要ない |
利益は様々な目標の1つに過ぎない |
基本的な価値観に正解が存在しない |
基本理念はゆるぎなく流行に左右されない |
社運を賭けた大胆な目標に挑むことを恐れない |
基本理念に合うものにだけすばらしい職場 |
試行錯誤の末の結果であることが多い |
社外CEOを迎えた例はむしろ例外 |
自らに勝つことを第一に考える |
二者択一を拒否し、矛盾する目標を同時に追求する |
成長するのは経営者の発言に先見的だからではない |
ビジョナリー・カンパニー2とは
ビジョナリー・カンパニー2とはジム・コリンズが著書「ビジョナリー・カンパニー」の続編として書いた、「長期間平凡だったが、ある時に急に飛躍し、高業績を長年継続した企業11社とそのライバル企業の違いを調査し、結果が記載された著書」のことです。
企業名 | 業種 | 代表的な商品 |
アボット | 医薬品 | HIV血液検査薬 |
サーキット ・シティ |
小売業 | 家電(現在は破綻) |
ファニー・メイ | 金融業 | 連邦住宅抵当公庫 |
ジレット | 化粧品 | カミソリ製品 |
キンバリー ・クラーク |
家庭用品 | 現在はP&G傘下 |
ローガー |
小売り | 手袋 |
ニューコア | 鉄鋼業 | 米最大の鉄鋼メーカー |
フィリップ ・モリス |
たばこ産業 | マール・ボロ |
ピットニー ・ボウズ |
IT | 郵便システム |
ウォルグリーン | 小売業 | 米最大のドラッグストア |
ウェルズ ・ファーゴ |
銀行業 | 米最大の金融 |
ビジョナリー・カンパニー2の優良企業の特徴

ここではコリンズは優良企業11社とそのライバル企業の違いを「1.第5水準の経営者」、「2.まず人材を選び、目標を決める」、「3.厳しい現実を直視し、必ず勝てると信じる」、「4.単純明快な戦略」、「5.人を管理せず、システムを管理する」としています。
1.第5水準の経営者

優良企業の経営者といえば、スティーブジョブズや孫正義などのカリスマ経営者を連想しますが、実際は就任前に「こいつ、大丈夫か?」と思われるような人物です。コリンズは優良企業11社のCEOを調査し、「一見、謙虚でおとなしく人前に出たがらないが、強い意志を持ち、大胆な判断をする」ことが特徴だと述べています。
例えば低迷する製紙会社だった米キンバリー・クラーク社に、CEOとしてダーウィン・スミスが就任しました。当時は「君は経営者の資質に欠けているからね」と社外取締役からの評価は低かったです。CEO就任直後にスミスは「中核事業のコート紙の製造販売を続けると偉大な企業になれない」と判断し、製紙工場を売却する大胆な決定をしました。
結果として、その後20年間でスミスは米キンバリー・クラーク社を紙製品で世界最強企業に育て上げました。
2.まず人材を選び、目標を決める
最初に仕事(目的)を決め、必要な人材を採用し、仕事が終わると解雇するのがアメリカ式経営と思われがちだが、優良企業11社はまず、自社の方針に合わせて人材を採用し、不適切な人材は解雇して、仕事(目的)を決めています。何をすべきかで人を雇うと、仕事(目的)が変われば辞めてしまう人もいます。逆に気に入った仲間同士なら、仕事(目的)が変わってもすぐに対応できます。優良企業11社の中には「特権階級に浸っていた幹部は実質剛健な当社の企業文化には合わない」として幹部のほぼ全員解雇した企業もあります。
3.厳しい現実を直視しつつ、必ず勝てると信じる
仕事の失敗や上手くいっていない事を上司に報告をすると怒られたり、「問題を解決してから報告しに来い」と命令を出す等、部下が上司にちゃんと報告ができない会社があります。
優良企業11社すべてが社員と経営幹部が意識的に話し合う機会をつくり、最善の答えを探し続けています。
また厳しい現実に直面しても「必ず勝てる」と信じています。
米キンバリー・クラーク社にCEOスミスは「P&Gはすばらしい。他社を圧倒してきた。1社だけ例外がある。それはわが社だ!」と社員を鼓舞したといいます。
4.単純明快な戦略(ハリネズミの戦略)
優良企業11社は単純明快な戦略を立て、それ以外は一切やりません。戦略には「自分達が世界一になれる分野」で、「情熱を燃やして取り組め」、「収益をもたらすもの」の3つの要素があり、これを「ハリネズミの戦略」といいます。
戦略が明確になると迷いがなくなる為、意思決定が早くなります。
5.人を管理せず、システムを管理する
カリスマ的なリーダーは自分の戦略を実行するため規律をつくり、社員に細かく指示、管理するが、いずれ退任すると、残された人たちは何をすべきか判断できず低迷することも多いです。
そこで、「ハリネズミの戦略」で人材に規律ある考え方を定着させ、各自に目標達成の責任を持たせ、枠組みの中では自由にできます。
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