
「自然単位系って何? 宇宙人が使う単位って本当にあるの? 自然単位系にはどういった定数があるの? 物理学って何だか難しそうだな…」
こういった疑問に物理学修士の筆者が答えます。
結論
自然単位とは宇宙を基準とした単位です。私たちが学校で習う単位はSI単位系(国際単位)といい地球を基準とした単位で、例えばm(メートル)は地球全周の4分の1を1万kmとするように決められています。それに対して自然単位は真空の光速度cを1と置くといったように、宇宙で不変の尺度を基準としているのです。
詳細は本記事にて解説します。
本記事の参考文献
本記事の内容
自然単位系とは

自然単位系とは宇宙を基準とした単位です。私たちが学校で習う単位は国際単位(SI単位系)といい地球を基準とした単位で、例えばm(メートル)は地球全周の4分の1を1万kmとするように決められています。それに対して自然単位は真空の光速度cを1と置くといったように、宇宙で不変の尺度を基準としているのです。もし宇宙人に会ったらSI単位では話が通じませんが、自然単位系であれば話が通じるのです。
自然単位系には以下の種類があり、それぞれを解説します。
真空中の光速度c
真空中の光速度c=約30万キロメートル/秒もしくはマッハ90万で、1秒間に地球を7周半も回ります。アインシュタインの特殊相対性理論では物体が光速度に近づくと、その物体は縮んだり時間が遅れたりすることがわかりました。この光速度cを1と置くと、物体の伸びや時間の遅れを表す式(ローレンツ変換)がシンプルに表すことができます。
x’=(x-vt)/√(1-v2)
t’=(t-vx)/√(1-v2)
x’=収縮後の物体の長さ、x=収縮前の物体の長さ、v=物体の移動速度、t=時間
万有引力定数G
ニュートンはあらゆる質量を持った物質同士は互いに引き寄せ合うという「万有引力の法則」を発見し、物体同士に働く力は以下のようになることを提唱しました。
F=G(m1m2)/r2
F=力、G=万有引力定数、r=距離、m1=物体の質量、 m2=もう1つの物体の質量
ちなみに万有引力(重力)は重力子と呼ばれる粒子が力を伝えているとされていますが、重力子はいまだに発見されていません。
ディラック定数ħ
ディラック定数ħ (エイチバー)はプランク定数hを2πで割った値で、不確定性の度合いを表しています。例えばハイゼンベルグは「粒子の速度を求めると位置が曖昧になり、位置を求めると速度が曖昧になるという不確定性原理」を提唱し、Δx×Δp≧ħ /2と記述しました。この式が表すようにΔx(位置の振れ幅)を小さく(正確に測定)しようとすると、Δp(速度の振れ幅)が大きくなる(曖昧になる)ことがわかります。
真空の誘電率ε0
クーロンは電荷を持った物体同士は互いに引き寄せ合ったり、反発し合うという「クーロンの法則」を発見(厳密にはキャベンディッシュが先に発見)し、物体同士に働く力は以下のようになることを提唱しました。
F=q1q2/(4πε0)(r1ーr2)2
F=力、ε0=真空の誘電率、r=距離、q1=物体の電荷、 q2=もう1つの物体の電荷
ちなみにクーロン力は光子と呼ばれる光の粒が力を伝えており、重力子に比べて1036倍も強いのです。超ひも理論では光子は3次元空間の移動するのに対して、重力子は10次元空間を移動するから弱いとされています。
素電荷e
素電荷e…eは電気量の単位で、陽子や電子の電荷に等しいです。さらに陽子は陽子は3つのクォークと呼ばれる粒子が集まってできているため、電気量の最小単位は1/3eになります。
ボルツマン定数k
ボルツマン定数k…ボルツマン定数は状態数とエントロピーを関連付けるために必要で、エントロピーは以下の式で表すことができます。エントロピーとは自由さを表す指標で、宇宙が始まって以来エントロピーは増え続けています。例えば宇宙初期のころは高温高密度な小さな宇宙で、粒子に自由はありませんでした。しかし時間が経つにつれて空間が膨張していき、粒子は散らばったり集まったりできるようになり(自由度が大きくなり)、星や銀河を形成するようになりました。
S=kInW
S=エントロピー、k=ボルツマン定数、W=状態数。
ボーア半径α
ボーア半径α0…ボーア半径は水素原子にある電子の第一軌道半径です。原子は原子核の周りを電子が回っているような構造をしており、その電子の回る軌道半径は自由に変えられるのではなく、飛ぼ飛びでしか変えることができません。ボーア半径は水素の電子軌道半径がこれ以上小さくすることができない半径なのです。
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