【簡単】スピンとは|パウリの排他原理を解説

スピンとは|パウリの排他原理について解説 自然科学
【簡単】スピンとは|パウリの排他原理を解説

「スピンって何? スピンの最小量ってどのくらい? 素粒子にもスピンがあるの? パウリの排他原理について知りたい。 物理学ってなんだか難しそうだな…」

こういった疑問に理学修士(物理学)の筆者が答えます。

結論

スピンとは物体の角運動量のことです。詳細は本記事にて解説します。

本記事の参考文献

本記事の内容

スピンとは

スピンとは

スピンとは物質がもつ角運動量のこと。角運動量とは上式のように物体の質量、回転する速さ、半径(の積)で決まり、質量の重たい物質ほど回りにくいし、半径が長くても回りにくいのです。例えば、両手を開いて大きな円で回転しているフィギュアスケート選手が両手を胸に寄せて小さな円で回転すると回転速度が早くなります。これは同じ角運動量で急に半径を短くすると、質量は変わらないので回転する速さが速くなるという運動法則に従っているのです。ちなみに粒子は固有のスピンを持っており、スピンを増やしたり減らしたりすることができません。
以下にスピンの特徴でもある「1.スピンの最小量
」、「2.スピンの単位」、「3.スピンの方向」、「4.素粒子のスピン量」をそれぞれ解説します。

1.スピンの最小量

電流のもとなっている電子も回転運動をして角運動量1/2ħ(エイチバー)を持っています。電子のスピン1/2はスピンの最小量でもあるのです。ħ(エイチバー)とは、物理学者ニールス・ボーアのあらゆる角運動量がħ/2π(hはプランク定数)の整数倍になるという理論から、h/2πを略してħと呼ぶようになりました。つまり1/2ħは厳密に言うと1/2×h/2πの角運動量を持っていることになるのです。
また角運動量1/2ħはスピン1/2でもあります。スピンは1ずつ大きくなるので、ħ大きくなることで符号が入れ替わる数字は-1/2と1/2しかありません。なのでスピンの最小量は1/2ħになります。

2.スピンの単位

歴史的な理由から、光の粒子である光子のスピンを1として、これを基本単位としています。そうすると電子や陽子のスピンは1/2となり、その他のあらゆる粒子は1の整数倍のスピンか、もしくは1の半整数倍のスピンのどちらかしか持ちません。そして1の整数倍のスピンを持つ量子はボゾン、1の半整数倍のスピンを持つ量子をフェルミオンといいます。ボゾンとは光子やグルーオンといった力を伝える素粒子で、フェルミオンとは電子やクォークなどの物質の材料となる素粒子となります。※素粒子の詳細については「4.素粒子のスピン量」で解説します。
ちなみにおもちゃのコマをこの基本単位で表すには、天文学的数字となるため、実質不可能なのです。

3.スピンの向きと方向

スピンの回転方向には上向きと下向きの2通りがあり、進行方向に対して時計回りに回るのは上向き、半時計回りに回るのは下向きとなります。上向きのスピンは+、下向きのスピンはマイナスで表されます。
ちなみにスピン1で質量0の光子のスピンは偏光と呼び、左回りの偏光や右回りの偏光といいます。通常のスピン1の量子は1,0,-1のスピンを取る(方向でいうと上向き、横倒れ、下向きを軸とする)のですが、光子は質量0により、1と-1のスピンしかとることができません。

4.素粒子のスピン量

素粒子のスピン量

素粒子とはこれ以上小さく分解できない粒子です。例えば水素は電子と原子核でできていて、電子はこれ以上小さくできません、つまり電子は素粒子です。原子核は陽子と中性子からできていて、さらに陽子と中性子はクォークと呼ばれる素粒子からできています。もちろんクォークは素粒子なので、それ以上小さく分解できません。
素粒子はそれぞれのスピンと詳細は以下表に記載します。

名称 スピン
光子 1
W粒子 1
Z粒子 1
グルーオン 1
ヒッグス粒子 0
重力子 2
アップクォーク 1/2
チャームクォーク 1/2
トップクォーク 1/2
ダウンクォーク 1/2
ストレンジクォーク 1/2
ボトムクォーク 1/2
電子ニュートリノ 1/2
ミューニュートリノ 1/2
タウニュートリノ 1/2
電子 1/2
ミュー粒子 1/2
タウ粒子 1/2

角運動量保存則

角運動量保存則とは変化の前後で全角運動量(角運動量の総量)は変わらないという法則です
例えば、互いの周りを軌道角運動していない電子と陽電子があり、これらは逆向きのスピンを持っているとします。つまり電子と陽電子の全角運動量は0です。そして、これらが対消滅して2個の光子が生まれると、それら光子の全角運動量は0になるのです。

パウリの排他原理

パウリの排他原理

パウリの排他原理とはオーストリアの物理学者ガング・パウリが提唱した、同じ位置に同じ運動状態の電子が存在できないという原理です。例えば、ヘリウムは原子核の周りを電子が2つ回っています。これらの電子は軌道は同じでもスピンは逆なの(運動状態が違うの)です。
またリチウムは3つの電子が原子核の周りを回っています。その中の2つの電子は逆向きのスピンをもってエネルギーの低い運動状態で落ち着きます。しかし、3番目の電子はパウリの排他原理により、同じ運動状態を取れないので、エネルギーの高い運動状態(他の2つの電子より外側の軌道を回るよう)になるのです。
人が物を触れる理由もパウリの排他原理が関係しています。例えば私たちの体や身の回りの物は原子でできています。原子とは原子核(直径1/100万nm)から0.1nmほどの距離を電子が回っています。つまり原子は他の原子と衝突してもすり抜けるくらいスカスカなのです。しかし私たちが物を触れるように、原子は他の原子をすり抜けることができません。これ運動状態が同じ電子が近づくと、パウリの排他原理により「縮退圧」と呼ばれる斥力が生まれるため、起こる現象なのです。

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