なぜ自社株買いをするのか|自社株買いを会計学で解説

自社株買い 会計
「自社株買いってなに? とういったメリットがあるの? 会計学は難しそうでよくわからないな…」

こういった疑問に会計学研究員の筆者が回答します。

結論

自社株買いはPERやROEという会計指標を高めて、株価を吊り上げるために行います。

「いやいや!PERとかROEってなんやねん!!」

本記事でちゃんと回収するんで安心してください。

本記事の参考文献

本記事の内容

自社株買いとは

自社株買いとは

自社株買いとは自社が発行している株を自社の資金で買い戻すことです。
自社株買いと配当金の増配は株主還元とされています。
最近ではソフトバンクが自社株買いを発表しました。

[東京 31日 ロイター] ソフトバンクグループ9984.Tは31日、1兆円・2億4000万株を上限とする自社株買いを決議したと発表した。発行済み株式総数の12.3%にあたる。

出典:ソフトバンクG、1兆円上限の自社株買いを決議=発行済株式の12.3% | ロイター (reuters.com)

PERと自社株買いの関係

PER計算方法

PER(Price Earnings Ratio)とは株価収益率のことで、その株価が割安か割高かを表しています。
計算式はPER=株価÷(当期純利益÷発行済株式数)で表します。
自社株買いを行うと発行済株式数が減るため、PERが下がります。
PERが低いと「この株は割安だから買おう!」という投資家心理が働き、株価が上がる可能性があります。株価が上がると株主とっては喜ばれます。

ROEと自社株買いの関係

ROE計算方法

ROE(Return on Equity)とは自己資本利益率のことで、株主から得た資本でどれだけの儲けたかを表しています。
計算式はROE=(当期純利益/純資産)×100(%)となります。
自社株買いを行うと純資産が減るため、ROEが上がります。
ROEが高いと「この会社は資本を効率良く使えてるな!」と投資家や株主から評価されます。

純資産とは借金ではない自分のお金のことです。例えば株を発行して得たお金や、事業行ってで蓄えたお金は純資産に入ります。会社はこの純資産と借金で事業を行います。
当期純利益とは法人税などを引かれた会社の最終的な利益です。

BSで見る自社株買い

BS

BS(Balance sheet)とは貸借対照表のことで、会社の経営状態を示した表です。
ソフトバンクグループの貸借対照表は下のようになります。貸借対照表を読み飛ばしOK!

BSには資産(現金、売掛金、固定資産など)、負債(買掛金、銀行から借金など)、純資産(株で調達した資金など)が記載されています。
必ず資産=負債+純資産とバランスすることからバランスシートと呼ばれます。

ソフトバンクグループのBS

流動資産 (単位:百万円)
現金及び現金同等物 1,747,005
営業債権等 1,774,744
その他の金融資産 96,389
棚卸資産 120,469
その他の流動資産 110,666
流動資産合計 3,849,273
非流動資産  
有形固定資産 1,098,030
使用権資産 1,153,916
のれん 624,470
無形資産 1,687,161
契約コスト 226,378
持分法で処理されてる投資 93,426
投資有価証券 259,009
銀行事業の有価証券 382,880
その他の金融資産 958,476
繰延税金資産 52,530
その他の非流動資産 105,578
非流動資産合計 6,641,554
資産合計 10,490,827

貸借対照表「資産の部」
出典:ソフトバンクグループ 四半期報告書(第35期第2四半期)
有価証券報告書・四半期報告書 | IRライブラリー | IR・投資家情報 | 企業・IR | ソフトバンク (softbank.jp)

流動負債  
有利子負債 2,145,300
営業債務及びその他 1,125,415
契約負債 102,059
銀行事業の預金 1,069,932
その他の金融負債 2,703
未払法人所得税 147,375
引当金 14,642
その他の流動負債 127,656
流動負債合計 4,735,082
非流動負債  
有利子負債 3,563,841
その他金融負債 36,731
確定給付負債 16,472
引当金 90,271
繰延税金負債 193,739
その他非流動負債 11,839
非流動負債合計 3,912,893
負債合計 8,647,975
資本  
資本金 204,309
資本金剰余金 136,101
利益金剰余金 1,104,742
自己株式 42,640
その他の包括利益 3,658
持ち分合計 1,126,652
被支配持分 716,200
資本合計 1,842,852
負債および資本合計 10,490,827

貸借対照表「負債・純資産の部」
出典:ソフトバンクグループ 四半期報告書(第35期第2四半期)
有価証券報告書・四半期報告書 | IRライブラリー | IR・投資家情報 | 企業・IR | ソフトバンク (softbank.jp)

BSの比例縮尺図

BSの比例縮尺図とはBSの金額と面積を各科目に割り当て、財務諸表を視覚的に理解できように工夫した図のことです。先ほどのBSの黄色マーカー部分を左、赤と青マーカー部分を右に入れると次のようになります。

BSの比例縮尺図とはBSの金額と面積を各科目に割り当て、財務諸表を視覚的に理解できように工夫した図のことです。先ほどのBSの黄色マーカー部分+投資その他を左、青マーカー部分を右に入れると次のようになります。

自社株買い前のBS

次にソフトバンクが自社株買いをしたらBSをこうなります。

自社株買い後のBS

流動資産(現金)純資産(株主から調達した資本)減っていることがわかります。これは現金で自社株を買ったからです。BS上の自社株買いはこのような形になります。
BSを見慣れている人なら、「自己資本比率少なすぎじゃね?」という感じるでしょう。自己資本比率とは純資産/(流動負債+固定負債+純資産)で算出される、財務の安全性を図る指標です。
自己資本比率は50%以上なら優良、30%以上が正常、10%未満は債務超過の可能性があります。
今回の試算では、自社株買い後の自己資本比率8.8%となり、債務超過の可能性があります。
「えっ?じゃあソフトバンクって潰れるの?」って思う人もいるかもしれませんが、ソフトバンクは潰れません。「Too big, too fail」という言葉があるように大き過ぎる会社は潰れないのです。ソフトバンクが潰れかけるとみずほ銀行がお金を貸してくれます。

純資産が小さいと買収されるリスクも高くなります。
今回のソフトバンクの自社株買いはアクティビスト(モノ言う株主)からのプレッシャーだという説があります。

↓初心者でもわかる財務表読解や企業分析については↓

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