【簡単】記号論とは|ポスト構造主義

記号論とは|ポスト構造主義 哲学

「ボードリヤールって誰? 構造主義って何? ポスト構造主義とは? 記号論について知りたい 哲学って何だか難しそうだな…」

こういった疑問に経営学修士(MBA)の筆者が答えます。

結論

記号論とはポスト構造主義の哲学者ジャン・ボードリヤール(1929-2007)が提唱した、消費社会で売買される商品や人々のあり方を「記号」と捉えて、社会構造を分析する手法です。詳細は本記事にて解説します。

本記事の参考文献

本記事の内容

構造主義とは

構造主義とは(ポスト構造主義とは)

構造主義は1960年代にフランスで発展していった哲学で、人間を個人としてとらえるのではなく、社会構造を通じてとらえるというものです。例えば構造主義の代表的なレヴィ・ストロース(1908~2009)は「西欧人は未開人(文明が開けていない場所に住む人)より本当に優れているのか?」と考えた際に、 西欧人と未開人は関心の持ち方が違うだけで、西欧人が優れているという訳ではないとしました。
このように誰しもが自分の所属する社会の影響によって考え方や感じ方が決まっているため、自由や自律性は限定的なものという思想が構造主義なのです。

ポスト構造主義とは

ポスト構造主義は構造主義をさらに進化させた思想で「個人も構造も流動的なものなので、構造の移り変わりや、その中における人々のあり方にどんな差異があるかに注目する」といった哲学思想なのです。ここではポスト構造主義であるボードリヤールの「記号論」について解説します。

記号論とは

記号論とは

記号論とは、消費社会で売買される商品や人々のあり方を「記号」と捉えて、社会構造を分析する手法です。
私たちが住む社会構造を「消費社会」と規定したボードリヤールは、物質的に豊かになった現代人は「欲求の充足」のために消費を行っているのではなく、他者との「差異化」を果たすために消費を行っているとしました。
というのも、消費社会における消費とは「使用価値の取得」ではなく「社会的意味を持つものの生産と操作」なのです。そう、消費とは「享受ではなく生産」なのです。例えばマックブックの機能が必要でマックブックを買っている人は少なく、カフェでマックブックを広げることにより、消費者自身が「おしゃれなオレ、イケてる!」と社会的意味を生産しているのです。つまりマックブックという「おしゃれの記号」なのです。
このように、記号としてのモノは、使用価値ではなくヒエラルキーの中の「地位上の価値」として、消費社会という構造の中へ秩序づけられるのです。かつて人間には個性がありましたが、消費社会では企業の個性化の原型となるパッケージを人々に消費させているだけで、個性など存在しないのです。
またボードリヤールは消費社会が偽りの平等を生み出しているとしています。例えば他者の幸福と自分の幸福が平等か分からないですが、消費は幸福を表示する記号となって計量可能なため、人は消費を平等に裏づけられた幸福のように感じるのです。
ちなみにボードリヤールは、消費社会で生きる人間は自らの欲求や自ら作り出した生産物と向き合わず、ただ自分の並べた記号の中に内在しているため、もはや消費の主体は個人ではなく、記号の秩序であることから、「消費社会は疎外の社会だ」と述べました。
記号論をまとめると以下のようになります。

  1. 実態のない見せかけだけの記号(高級感、お得感、欲望を刺激するイメージを生み出すなにか)が付与された商品は、無限に生み出すことができる。
  2. しかし、しょせんは見せかけの商品のため、いくらつくっても社会はどんな未来へも到達しない。
  3. こうした経済活動の不毛さに気づく前に人は死ぬため、同じ経済活動が永遠に繰り返される。
  4. 記号を提供する人(ブランド会社の社長)を排除しても、記号は消費者が生み出しているため、なくならない。

反体制者の記号論

ボードリヤールは反社会的活動を行う人々も消費される記号の1つになったと述べています。例えば「政府の権力にさからう俺かっこいい、行動力があってすごいだろ、政府の悪を見抜いている凡人とは違う」といった反体制者の態度は、先ほどのマックブックを広げてドヤる人と同じ消費される記号の1つなのです。
また反社会的活動を行う人々も現体制の枠組みの活動を行っているため、体制を変えることは決してありません。例えばデモを行う服装、デモを行うための申請、デモのプラカードなどの全て市場が売っていたり、社会が提供しているものなのです。

死の延期

マルクスは資本者階級は労働者階級から搾取を行っていると述べましたが、ボードリヤールは「労働は死の延期」と述べています。どういうことかというと、私たちは労働することで衣食住や医療を手に入れることができます。これを言い換えると労働は死を延期していることになります。さらにボードリヤールは「社会の言いなりになって奴隷になるくらいなら、死んだ方がましと思える人だけが社会を変えられる可能性を持っている」と述べます。つまり「死の延期」を不要と言える人、現代でいうニートこそが社会を変え、この消費社会を変えられるのです。

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