
「内部留保って何? 内部留保ってどこに書いてるの? 内部留保を事例で知りたい。 日本企業はなぜ内部留保を溜めるの? 会計学って何だか難しそうだな…」
こういった疑問に会計学でMBAを取得した筆者が答えます。
結論
内部留保とは企業が蓄えた貯金のことで、有価証券報告書の「その他利益剰余金」やその中の「繰越利益剰余金」が内部留保に該当します。詳細は本記事にて解説します。
本記事の参考文献
本記事の内容
内部留保とは

内部留保とは企業が蓄えた貯金のことで、有価証券報告書の貸借対照表に記載されている「その他利益剰余金」やその中の「繰越利益剰余金」が内部留保に該当します。下の表はトヨタ自動車株式会社の有価証券報告書の194ページを少しアレンジしたものです。
負債の部 | |
流動負債 | |
支払手形 | 27 |
電子記録債務 | 286,691 |
買掛金 | 1,050,052 |
短期借入金 | 20,000 |
1年内返済予定の長期借入金 | 1,300,000 |
1年内償還予定の社債 | 103,033 |
未払金 | 426,073 |
未払法人税等 | 61,598 |
未払費用 | 546,696 |
預り金 | 821,626 |
製品保証引当金 | 888,288 |
役員賞与引当金 | 928 |
その他 | 197,183 |
流動負債合計 | 5,702,195 |
固定負債 | |
社債 | 1,058,905 |
退職給付引当金 | 360,279 |
その他 | 182,881 |
固定負債合計 | 1,602,065 |
負債合計 | 7,304,260 |
純資産の部 | |
株主資本 | |
資本金 | 635,402 |
資本剰余金 | |
資本準備金 | 655,323 |
その他資本剰余金 | 20,978 |
資本剰余金合計 | 676,301 |
利益剰余金 | |
利益準備金 | 99,454 |
その他利益剰余金 | |
特別償却準備金 | 91 |
固定資産圧縮積立金 | 8,954 |
別途積立金 | 6,340,926 |
繰越利益剰余金 | 8,013,393 |
利益剰余金合計 | 14,462,819 |
自己株式 | -3,168,492 |
株主資本合計 | 12,606,029 |
評価・換算差額等 | |
その他有価証券評価差額金 | 1,287,992 |
評価・換算差額等合計 | 1,287,992 |
純資産合計 | 13,894,021 |
負債純資産合計 | 21,198,281 |
この表には貸借対照表の負債の部と純資産の部が書かれています。貸借対照表とは負債の部、純資産の部、資産の部から構成されており、負債の部では銀行からどのくらい借金をしているのか、買掛金がどのくらいあるのかがわかります。また純資産の部では株主からどのくらいのお金を調達できているのか、会社の内部留保をいくら貯めているのかがわかります。さらに資産の部ではどのくらい固定資産、現金、在庫といった資産があるのかがわかります。
本題戻ってトヨタ自動車の内部留保を確認します。トヨタ自動車場合、黄線部の「繰越利益剰余金」である8,013,393(百万円)が内部留保です。つまりトヨタは8兆円以上の貯金を貯めているのです。
トヨタ自動車場合、赤線部の「繰越利益剰余金」でしたが、内部留保は企業によって表記が違います。例えばその他利益剰余金と記載しているだけの企業もあれば、利益剰余金としか記載がない企業もあります。利益剰余金としか記載がない企業は利益剰余金から利益準備金を引いて、その他利益剰余金を計算しないといけません。ちなみに利益準備金とは会社法によって積み上げないといけないお金です。
なぜ日本企業は内部留保を貯めるのか

日本企業は内部留保が多いため問題となっており「企業の内部留保に税金を課すべきだ」という政治家もいます。それではなぜ日本企業は内部留保を貯めるのかというと、デフレだからです。デフレとはお金の価値が年円上がっていく現象です。例えば去年は卵1パック200円だったのが、今年は卵1パック190円になっているとう現象がデフレなのです。デフレだと一般人も企業もお金を貯めておくと得をするのです。したがって経営者は設備や人材に投資をするくらいだったら貯金に回した方が合理的な判断となるのです。
お金持ちほどお金の価値が上げるデフレを好みます。またお金持ちほど政治献金やレントシーキング活動(自分の利益のために、政治家や行政にルールを変更させようとする活動)に積極的です。ここまで説明するとなぜデフレがなくならず、格差が拡がるのかがわかります。
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