【簡単】量子力学とは|人は壁をすり抜ける

量子力学の電子の共存 量子力学
【簡単】量子力学とは|人は壁をすり抜ける

「量子力学って何? どんな理論があるの? 電子の共存? トンネル効果? 人が壁をすり抜けられるって本当? アインシュタインが「君が見ている時にしか月が存在しないと思っているのかね」や「神はサイコロを振らない」といったのはどういう意味? 量子力学ってなんだか難しそうだな…

こういった疑問に物理学修士の筆者が答えます。

結論

量子力学はミクロな世界の原子やそれより小さい素粒子はどのように振る舞うかを解き明かす理論です。詳細は本記事にて解説します。

量子力学とは原子よりも小さい物質の動きと力を扱う力学の分野
出典:オックスフォード英英辞典

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本記事の参考文献

本記事の内容

量子とは

量子とは「塊」や「束」のことです。私たちの住んでいる大きな世界では、大きさや量を小刻みに調整できます。例えば、砂糖を100g、10g、1g、0.1g…といった具合に、技術さえあれば限りなく小刻みに調整できるように思えます。しかしミクロな世界ではそうはいきません。例えば水素原子の直径は0.1nmでこれ以上小さくなれません。しかも、その水素原子にエネルギーを与えると、水素原子は大きくなるものの、飛び飛びの大きさしか変化できません。要するに、水素原子のようなミクロなものは、これ小刻みに調整することはできず、決まった大きさや決まったエネルギーを持つしかできないのです。ミクロな世界の物理では決まった大きさ、つまり「塊」で考える必要があるのです。

量子力学とは

量子力学はミクロな世界の原子やそれより小さい素粒子はどのように振る舞うかを解き明かす理論です。例えば、水を樽やコップ一杯分であれば、量子力学以前の古典力学で対応できます。しかし、水分子1個1個の振る舞いに対応しようとすると量子力学を用いる必要があるのです。19世紀の多くの科学者、当時の物理学で、あらゆることが説明できたので、これ以上物理学は発展しないだろうと思っていました。。しかし、一部説明できないものや、観測精度が上がるにつれて説明できなくなったもの(量子が持っている波と粒の性質を、矛盾なく説明すること等)が現れ、量子力学が発展していったのです。

電子の共存

フランスの物理学者ルイ・ド・ブロイは「電子などの粒子には、波としての性質がある」と主張しました。これはアインシュタインが光は波と粒子の両方の性質があるというアイデアを電子にも当てはめたものです。
電子が波と聞くと下の画像のようなイメージをする人がいると思いますが、間違っています。

【簡単】量子力学とは|人は壁をすり抜ける

実際は「確率の波」という意味で、電子は下の写真のように共存していて、存在が確率でしか表せません。そして、人によって観測されると1つの電子に収縮して、電子の存在が特定できるのです。

電子の共存と収縮

この電子の共存と波の収縮を「確率の波」で表すと下のようになります。
このように波の振幅が大きい場所ほど、電子の存在確率は高くなり、人が測定器などで観測をすると、電子の波が針状に収縮して、1つの電子が発見されるのです。

電子の確率の波

この現象はコペンハーゲン解釈とも言われ、なぜこのような非現実的なことが言われているのかというと、詳しくは割愛しますが、下の写真のような「電子の二重スリット実験」の実験結果から、1つの電子が違う隙間を同時に通ったとしか考えられない現象が起きるからなのです。ちなみに電子が隙間を通過する様子を観測しようとすると、波が収束するので、どちらか一つから通ってる様子しか観測できません

二重スリット実験
コペンハーゲン解釈の他にも、多世界解釈やシュミレーション仮説などがあり、現時点ではどれがが正解の可能性もあるし、複数の仮説が正解の可能性もあります。

トンネル効果

トンネル効果

トンネル効果とは電子などの粒子が、本来抜けられるはずのない壁をすり抜ける現象です。
これはなぜ起こるのかというと「エネルギーの不確定性関係」といって、電子のようなミクロな世界では短い時間であれば、本来越えられないエネルギーの壁を越えることができます。例えば私達が3メールとるの立壁を越えるのはエネルギーが足りないのでまず無理でしょう。しかし、ミクロな世界では例えエネルギーが足りなくても、短い時間であればエネルギーは色々な値を取ることができ、壁を越える(すり抜ける)ことができるのです
ちなみにトンネル効果は大きい物質になるほど起こりにくいですが、人間も壁をすり抜ける確率は完全に0ではありません。しかし、例え全人類が一生かけてチャレンジしても、誰も成功しないくらいの確率なのです。

その他のトンネル効果の例として、原子核のアルファ崩壊があげられます。アルファ崩壊とはウランなどの放射性物質の原子核がアルファ粒子と呼ばれる粒子を放出して少し軽い原子核になる現象です。
アルファ粒子は本来であれば、「強い力」で原子核にくっついて離れません。しかしトンネル効果により、「強い力」のエネルギーから脱出することができるのです

「強い力」とは物理学に代表される4つの力(重力、電磁気力、弱い力、強い力)の1つで、粒子同士をくっつける力です。その力で陽子や中性子、原子核などを作ります。

アインシュタイン「君が見ている時にしか月が存在しないと思っているのかね」

アインシュタインが、物理学者アブラハム・パイスに「君は本当に、君が見ているときにしか月が存在しないと思っているのかね」と言いました。これはどういう意味かというと、月は誰かが観測していようがいまいが、地球の周りを規則的に回っています。しかし量子力学では、原子核の周りを電子が規則的回っているのではなく、さまざまな場所で同時に存在していると考えるのです。これに納得できないアインシュタインは、原子核の周りを回る電子を月に例えて皮肉を言ったのです。

アインシュタイン「神はサイコロを振らない」

アインシュタインは「神はサイコロを振らない」といって量子力学を否定しました。これはどういう意味かというと、「コペンハーゲン解釈」で出てきた、電子は確率でしか存在できないという「確率解釈」を否定したのです。アインシュタインは「サイコロの出目と同じように、電子が確率でしか存在できないのはおかしい、なぜなら神はサイコロを振らないから」と考えたのです。

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