プレファランスを決める3つの要素|確率思考の戦略論

確率思考の戦略論 経営
「確率思考の戦略論って何? プレファランスとは? プレファランスを高めるにはどうすればいいの? エボークト・セットって何? マーケティングってなんだか難しそうだな…」

こういった疑問にMBA学生の筆者が答えます。

結論

確率思考の戦略論とはUSJを「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」に変えた森岡毅氏の著書で、「ビジネスの成否は確立で決まる。その確率はある程度操作できる」ということが書かれています。詳細は本記事にてい解説します。

確率思考の戦略論の共著者、今西聖貴氏はP&Gで森岡氏の同僚として20年以上需要予測モデルや予測分析を担当、その後は森岡氏から三顧の礼でUSJに迎えられ、USJ復活を支えた調査のスペシャリストです。

本記事の参考文献

本記事の内容

1.プレファランス

プレファランスを決める3つの要素|確率思考の戦略論

プレファランスとは、例えばハンバーガーといえば、「てりやきバーガー」、「チーズバーガー」、「フィッシュバーガー」など、人によって好みが分かれます。この好みをプレファランスといいます
また、プレファランスの組み合わせをエボークト・セットといいます
エボークト・セットは、過去の購買経験によって消費者の脳内に無意識のうちにつくられて、消費者はこの中から買う商品をランダムに選びます。例えば、「てりやきバーガー5割、チーズバーガー4割、フィッシュバーガー1割」の人は、脳内でエボークト・セットのガチャを回して商品を買います。この人がハンバーガーを10回買うと平均して、てりやきバーガーが5回選ばれます。
全消費者がガチャをした結果の集計がシェアです。これは市場のプレファランスの平均値となります。企業は市場で消費者のプレファランスを奪い合い、その結果がシェアになるのです。つまり、経営資源を集中すべきなのは、消費者のプレファランスの向上なのです。

プリファランス
誰か/何かよりも誰か/何かに対するより大きな関心や欲求
出典:オックスフォード英英辞典

2.プレファランスを決める3つの要素

プレファランスを決める3つの要素|確率思考の戦略論

プレファランスは、①ブランド・エクイティー②製品パフォーマンス③価格で決まります。

①ブランド・エクイティ

ブランド・エクイティとは、ブランドがもつ見えない資産のことです。ブランド・エクイティは、プレファランスを支配する最も重要な要素なのです。東京ディスニーリゾートは「夢と魔法の王国」という圧倒的に強いブランド・エクイティをもっています。

↓さらにブランド・エクイティについて知りたい方は↓

②製品パフォーマンス

製品パフォーマンスの重要度は、カテゴリーで異なります。機能重視型の商品(家電)や問題解決型の商品(薬)は、製品パフォーマンスが高いとプレファランスが高まります。消費者は失敗したくないので、一度信頼したブランドは他ブランドになかなかスイッチしないのです。だから満足すると、エボークト・セットに入りやすくなります。しかし、違いが微妙なカテゴリーの製品、例えばミネラルウォーターは、製品パフォーマンスよりブランド・エクイティー強化の方がプレファランスが高まります。

③価格

価格を上げると短期的にプレファランスは下がります。しかし、消費者を継続的に喜ばすための原資を得るには価格を上げる必要があるので、中長期的には価格アップが正しい。
当初USJのチケットは5800円でした、海外では1万円以上が当たり前です。しかし日本のパークは高品質で、人件費、建設費、土地代などのコストも高いのに、料金が安いのです。これでは日本国内のテーマパーク業界は活性化しません。USJは毎年値上げを続け、7400円まで値上げしつつ集客も伸ばしました。先にブランド価値を高めることで、初めて値上げは可能になるので、戦略の本質は「プレファランスを上げ、買いやすくする」ことなのです

3.経営資源3つの配分先

プレファランスを決める3つの要素|確率思考の戦略論

①自社ブランドのプレファランス

市場で自社ブランドのプレファランスを増やすには、より多くの顧客を開拓することです。ここで重要なのは、顧客ターゲティングの際に、競合と差別化しようとするあまり、顧客のプレファランスを狭めないことです。低迷時のUSJのポジショニングは「映画のテーマパーク」でした。しかしファン層が大人の独身女性層だけにあまりにも集中していました。USJは東京ディスニーランドと比べて、市場全体で見るとプレファランスがずっと弱かったのです。そこで森岡氏はUSJを「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」にポジショニングを変え、ファミリー層、ハロウィーン客、個別ブランドファン、スリルを求めるスリルシーカーなどのターゲットを掘り起こしました。

②認知

何%の消費者が商品を知っているかが認知です。認知率50%を1.2倍向上して60%にすれば、売上も20%上がります。認知の質も第四。商品名「ダイソン」しか知らない人よりも「吸引力が変わらないただ1つの掃除機」と知っている人のほうが商品を買うのです。

③配荷

消費者の何%が商品を買おうとと思えば変えるかが配荷です。具体的には店頭で買える状態にすることです。配荷率50%を1.2倍向上して60%にすれば、売上も20%上がります。配荷は取り扱い店を増やせば高まるのです
さらに、来店客のプレファランスに最適化すれば、配荷の質をあげられます。シャンプーの場合、高級住宅街のドラッグストアではお高めのシャンプーで店頭を賑わし、郊外ホームセンターではファミリー向けに定番ブランドのお得な大型サイズを増やします。

ブランドの年間売上

消費者の購買フロー

上表のように、「認知率」、「配荷率」、「過去の購入数」、「エボークト・セットに入れる率」、「1年間の購入率」がわかれば、「全世帯の中で年間購入する人の割合」がわかり、「年間の売上」を計算することができます。

全世帯の中で年間購入する人の割合

=認知率×配荷率×過去の購入率×エボークト・セットに入れる率×1年間の購入率=75%×80%×60%×60%×60%
=13%

洗剤の年間売上

=総世帯数×購入者割合×平均購入回数×平均購入額

=5000万世帯×13%×1.3回×420円=35億円

この式は逆算で使うことが多く、年間売上などの目標達成に必要な認知率や配荷率を逆算し、どの要素に経営資源を投資するか決めることができます。

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