経路積分法とは|ファイマンの量子力学

経路積分法|作用汎関数 自然科学

「経路積分法って何? 行列力学や波動力学の他の量子力学って? 作用反関数とは? 物理学ってなんだか難しそうだな…」

こういった疑問に理学修士(物理学)の筆者が答えます。

結論

経路積分法とはアメリカの物理学者リチャード・ファイマンが提唱した「1つの量子はあらゆる可能な経路を全て同時に通ったとして、その経路をすべて足し合わせることで状態ベクトル再現する方法」です。詳細は本記事にて解説します。

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本記事の内容

経路積分法とは

経路積分法とは

経路積分法とはアメリカの物理学者リチャード・ファイマンが提唱した「1つの量子はあらゆる可能な経路を全て同時に通ったとして、その経路をすべて足し合わせることで状態ベクトル再現する方法」です。例えばバスケットボールをシュートすると、ボールはゴールネットを通ったり、リングに当たってゴールネットを通ったり、ボードに当たってゴールネットを通ったりと、色々な経路を通ってゴールネットを通ります。しかし、電子(量子の一種)のようなミクロなものはバスケットボールのような大きなものと違って、取りうる経路を同時に通っており、人間が観測して初めてどの経路を通ったのかがわかるのです。
経路積分法ではその電子の経路をすべて足し合わせることで、人間が観測する前の電子の状態を表すことができるのです。
ちなみに量子の状態を表すには経路積分法の他にも、ハイゼンベルグの行列力学、シュレーディンガーの波動力学、少しマイナーですが確率過程量子化、パイロット波理論などがあり、これらすべてが正しい量子力学なのです。つまり経路積分法は量子状態を表す手法の1つなのです。

作用汎関数

作用汎関数

作用汎関数は上式で表されます。まず作用汎関数S[x(t)]と位置x(t)の関係を説明すると、S[x(t)]は図形の高さを表し、x(t)は図形の平面座標を表しています。つまり、図形の平面座標x(t)を決めると図形の高さS[x(t)]が決まるのです。これがSとxの関係です。また、x(t)は経路積分法の場合、量子の通る経路を表しています。つまり、作用汎関数の値は量子の経路によって決まる値となります。
古典力学では作用汎関数が最小の値しか注目しないので意味のある関数ではありませんでした。しかしファイマンの考えた量子力学(経路積分法)では、作用汎関数が小さくなる経路では量子が通過する確率が高くなり、大きければ量子の通過する確率が小さくなるのです。
少し余談ですが、作用汎関数S[x(t)]/hバーに比例して、量子に不随する複素数が複素平面上の円周をくるくる回るとしたのです。そしてあらゆる経路を通って全て足しあわされた複素数の絶対値の2乗が、行列力学や波動力学を使って計算される「量子がその場所に到達する確率」と一致するのです。このことから作用汎関数が小さくなる経路では量子が通過する確率が高くなることがわかったのです。

トンネル効果の経路積分

トンネル効果の経路積分

トンネル効果とは、量子は小さいエネルギーでもエネルギーの壁を越えるという現象です例えば絶縁体が挟まれた導線を走る電子について考えます。絶縁体とは電子を通しに難い物質で空気も絶縁体です。しかし落雷が起きるように、高い電圧(エネルギー)をかければ絶縁体でも電子が通過できます。つまり絶縁体はエネルギーの壁なのです。
量子力学以前のニュートン力学では、エネルギーの壁より高いエネルギーを持っていなければ物質は壁を超えることができませんでした。しかし、ミクロな世界の理論である量子力学では違います。
電子のようなミクロな物質は、例え物質が持っているエネルギーが低くても、エネルギーの壁を越えることができるのです。
この現象を経路積分で説明します。経路積分ではあらゆる可能な経路を通ります。つまり、エネルギーの壁を越えて向こう側に抜けるような経路も含まれているのです。この経路は作用汎関数の値が大きくなるため、作用汎関数の値が最小となる古典力学では実現不可能です。しかし、経路積分では作用汎関数の値は経路の濃淡を表しているので、確率は低いものの、エネルギーの壁を越えて向こう側に抜けるような経路も実現可能なのです。

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