【簡単】マクスウェルの悪魔とは|歴史と解決策を解説

マクスウェルの悪魔とは|歴史と解決策を解説 量子力学

「マクスウェルの悪魔って何? マクスウェルの悪魔は解決したの? マクスウェルの悪魔が復活したって本当? 物理学って何だか難しそうだな…」

こういった疑問に物理学修士の筆者が答えます。

結論

マクスウェルの悪魔とは、英物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが1867年に提唱した「小窓を開け閉めする悪魔がいると、エントロピー増大則が成り立たない」という思考実験です。詳細は本記事にて解説します。

本記事の内容

マクスウェルの悪魔とは

マクスウェルの悪魔とは、英物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した「小窓を開け閉めする悪魔がいるとエントロピー増大則が成り立たない」という思考実験です。まずエントロピー増大則とは温度は高いところから低いところに流れることで、熱力学第二法則ともいいます。他にもコーヒーにミルクを垂らすとカップの中で混ざるのはエントロピー増大則に従っているからですが、今回は「温度は高いところから低いところに流れる」とだけ覚えて下さい。
温度はミクロで見ると「空気分子の運動の速さ」であり、温度は分子の運動が激しいと高くなり、穏やかだと低くなります。つまりエントロピー増大則(温度は高いところから低いところに流れる)とは、激しく運動をしている空気分子が静かに運動している空気分子とぶつかって、激しさが緩和されているのです。

マクスウェルの悪魔の解説

上写真のような密封された容器の中を、いろいろな速度の分子が運動しているとします。容器の真ん中には仕切りと、悪魔が開閉できる小窓がついています。この悪魔は分子の運動を観察して、好きな分子を隣の部屋に移動させることができます。
この悪魔が激しい運動をしている分子だけ部屋Aに移動させて、穏やかな運動している分子を部屋Bに移動させるとします。すると温度が低いところから高いところに流れるため、エントロピー増大則に反してしまうのです。このエントロピー増大則に反してしまう問題が、長年未解決であったマクスウェルの悪魔なのです。

マクスウェルの悪魔に挑んだ科学者

多くの科学者がマクスウェルの悪魔に挑みましたが、その中でも有名な研究である「1.シラードのエンジン」、「2.ラウダウアーの予言」、「3.鳥谷部・沙川の発見」を紹介します。

1.シラードのエンジン

1929年ハンガリーの物理学者レオ・シラードは「シラードのエンジン」という、容器に1つだけ分子を入れるモデルを考えました。その場合、悪魔は「どちらの部屋に分子があるか」を観測して情報を得なければならないので、「この情報を得る行為がエントロピーを増大させている」と仮説をたて、「低い温度が高い温度に流れることのよるエントロピーの減少」と「悪魔がエネルギーを使うことによるエントロピーの増加」を足し合わせると「合計のエントロピーは増大している」という結論に至ったのです。しかし20年後、悪魔の観測がエントロピーに関係ないことがわかりました。

2.ランダウアーの予言

1961年IBMで研究員を務めるランダウアーは、悪魔が「激しい速度の分子」と「穏やかな速度の分子」を比較する際に情報を記憶し、悪魔の頭が容量が一杯になると情報を消去すると考えました。さらにこの情報消去された時にエントロピーが増大するので、「合計のエントロピーは増大している」という結論に至ったのです

3.鳥谷部・沙川の発見

2010年東北大学教授鳥谷部(とやべ)祥一.氏と東京大学教授沙川(さがわ)貴大氏はマクスウェルの悪魔の装置を再現して実験を行ったところ、「温度Tの環境下で1ビットの情報を消去するためには、最低でもktlog2の仕事が必要である」という、ラウダウアーの理論が正しいことを示したのです。この結果100年以上続いたマクスウェルの悪魔論争に終止符を打たれました。

マクスウェルの悪魔復活

気体分子運動に関するマクスウェルの悪魔は終止符を打たれたものの、マクスウェルの悪魔は違う形で復活しました。冒頭でコーヒーにミルクを垂らすとカップの中で混ざるのはエントロピー増大則に従っているからと説明しました。このようにエントロピーは秩序がなくなると増加します。秩序がなくなるとは、最初は秩序があった(ミルクとコーヒーは別々に存在していた)にもかからわず、最後には秩序がなくなり乱雑になった(ミルクとコーヒーは混ざりあってコーヒー牛乳になった)という意味です。
話を本題に戻して、スイスとアメリカがチーム共同で、生物の遺伝子の進化プログラムを量子コンピュータで計算したところ、最初はプログラムが進むにつれて0と1(遺伝子は0と1の組み合わせで決まる)がどんどん乱雑になりました(エントロピーが増加した)が、途中からどんどん秩序が形成されていった(エントロピーが減少した)のです。つまりエントロピーを減少させる何か(悪魔)が再び誕生したのです。この問題に関しては未だに解決されていません。

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