【簡単】行列力学とは|ハイゼンベルク方程式を解説

行列力学とは|ハイゼンベルク方程式を解説 量子力学
【簡単】行列力学とは|ハイゼンベルク方程式を解説

「行列力学って何? 行列とは? ベクトルについて知りたい? ハイゼンベルグ方程式とは? 物理学ってなんだか難しそうだな…」

こういった疑問に理学修士(物理学)の筆者が答えます。

結論

波動力学とはシュレーディンガーが提唱した「量子は状態ベクトルが運動するものと考え、量子の存在確率などを計算する学問」です。詳細は本記事にて解説します。

本記事の参考文献

本記事の内容

行列力学とは

【簡単】行列力学とは|ハイゼンベルク方程式を解説

行列力学とはハイゼンベルグが提唱した「量子は行列が運動するものと考え、量子の存在確率などを計算する学問(量子力学)」です。例えば電子(量子の一種)などのミクロな物質は野球ボールのような大きなものと違い、位置と速度(運動量)を確率でしか計算できません。というのも、電子のようなミクロな物質は位置を測定しようとしたら速度が変わり、速度を測定しようとしたら位置がかわるのです。このような現象を不確定性原理といいます。さらに言うと位置を測定してから速度を測定するのと、速度を測定してから位置を測定するのでも結果が変わってくるのです。こういった量子の状態を確率で表そうとするのが行列力学となります。
ちなみに量子の状態を表すには行列力学の他にもシュレーディンガーの波動力学、ファイマンの経路積分法、少しマイナーですが確率過程量子化、パイロット波理論などがあり、これらすべてが正しい量子力学なのです。つまり行列力学は量子状態を表す手法の1つなのです。

行列力学はなぜ量子状態の計算に行列を使うのか

行列力学はなぜ量子状態の計算に行列を使うのか

行列力学が量子状態に行列を使う理由は「1.行列は計算の順序を入れ替えると別の答えになる」、「2.行列はベクトルを変形できる」、「3.内積でベクトル成分がわかる」の3つです。それぞれを解説します。

1.行列は掛け算の順序を入れ替えると別の答えになる

行列力学は量子状態の計算には行列を使います。普通の掛け算であれば、掛ける順番によって答えは違いません。例えば7×3でも3×7でも答えは21です。しかし行列の掛け算は上写真のように掛ける順番によって答えが変わってくるのです。先ほど説明したように 電子のようなミクロな物質は位置を測定してから速度を測定するのと、速度を測定してから位置を測定するのでも結果が変わってくるのです。なので行列の掛け算で順序を入れ替えたら答えた変わるという性質が量子の状態を表すのに都合がいいのです。

2.行列はベクトルを変形できる

また行列はベクトルを変形できるという性質を持っています。まずベクトルを説明すると、ベクトルは1次元だったら(x)、2次元だったら(x,y)、3次元だったら(x,y,z)のように表すことができ、x,yをそれぞれベクトルの成分といいます。もし行列とベクトルをかけると(x,y,z)が(2x,2y)できたり、(y,x)のように変形できます。行列力学ではこのベクトルの変形を使って量子状態を表します。
例えばこのベクトルの変形を使って「位置を測定した後の量子状態」を表す場合、位置行列X^と状態ベクトルψ(位置や速度の分布情報といった、量子の状態を表すベクトル)をかけてX^ψを求めます。こうすることで量子の状態ψが位置行列X^にどのような影響を受けたかが計算でき、「位置を測定した後の量子状態」がわかるのです。

3.内積でベクトル成分がわかる

先ほど求めたX^ψψ† をかけると、X^ψψ成分が取り出せます。†(ダガー)はベクトルを複素共役にするという記号とだけ覚えておいてください。例えばψX^ψが0であれば、X^ψ成分が0、つまり「位置を測定したことで元の量子状態が完全に失われてしまう」ことを意味します。逆にψX^ψが大きな値になれば「位置を測定したことで元の量子状態が大きく変化した」ことを表します。

ハイゼンベルグ方程式とは

ハイゼンベルグ方程式とは

冒頭でも説明したように、行列力学では量子の状態を確率で表すことができます。ここでは代表的な量子状態を表す式である上式ハイゼンベルグ方程式を「正準交換関係」、「ハミルトニアン」の順に解説します。

正準交換関係

正準交換関係

状態ベクトルψ、位置行列X^、運動量(速度)行列P^とすると、X^P^ψ(位置を測定してから速度を測定する)とP^X^ψ(速度を測定してから位置を測定する)の結果が違うことをもうおわかりだと思います。ではX^P^P^X^ではどれくらい違うのかというと、X^P^P^X^=iħ(ħ=h/2π)です。これは正準交換関係と呼ばれ量子力学の基本原理となっています。ちなみにこのように掛け算の順序を入れ替えて差をとる操作を交換子と呼び、[X^,P^]=iħと記載します。

ハミルトニアン

ハミルトニアン

ハミルトニアンとは一見難しそうに見えますが、高校物理で習う古典力学のエネルギーを行列で表しています。例えば高校物理でE(エネルギー)=P2/2m(運動エネルギー)+U(ポテンシャルエネルギー)で表されました。今回はそのエネルギー(E)の時間変化を行列で表したものをH(ハミルトニアン)としたのです。

ハイゼンベルグ方程式

ハイゼンベルグ方程式

ハイゼンベルグの方程式は上式のようになります。速度とは距離の時間微分を表しており、時間がちょっと変化したとき距離がどのくらい変化したかを表しているのです。
それを踏まえて上記の左辺は物理量A^(t)の時間微分を表しており、時間tがちょっと変化したときにA^がどれだけ変化するかを表しています。ここでいう物理量Aは速度や位置などです。
右辺はハミルトニアンH^と行列A^(t)との交換子を表しています。つまり、ハイゼンベルグの方程式とはちょっとだけ変化した時の物理量A^を知りたければ、ハミルトニアンと物理量Aとの交換子を計算しなさいという式なのです。
なので、t=0での行列A^(0)に交換子を使って計算した変化分を加えれば「時間がちょっとだけ経った後の行列A^」が求められます。これを繰り返すと求めたい任意の時間(t=1やt=100など)での物理量A^が求められるのです。
ハイゼンベルグ方程式で求められる物理量(位置や速度など)は量子本来の物理量です。もし観測で求められる物理量を求めるのであればそれは期待値(確率)でしか求められません。
ちなみに観測で求められる物理量はA^=ψ0A^(t)ψ0(ψ0は長さ1の状態ベクトル)と表されます。

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