顕微鏡の限界|人類はどこまで小さいものが見えるのか

顕微鏡の限界(人類はどこまで小さいものが見えるのか)) 量子力学
顕微鏡の限界|人類はどこまで小さいものが見えるのか

「人類はどこまで小さなものが見えるの? 顕微鏡ってどこまで小さなものが見えるの? 顕微鏡より小さなものが見える実験装置はある? ブラックホールが発生するから小さすぎるものは見えない? 物理学って何だか難しそうだな…」

こういった疑問に物理学修士の筆者が答えます。

結論

LHC(大型ハドロン衝突型加速器)という装置を使うと、1000京分の1メートルという分解能に達します。詳細は本記事にて解説します。

本記事の参考文献

本記事の内容

顕微鏡の限界(人類はどこまで小さいものが見えるのか)

顕微鏡の限界(人類はどこまで小さいものが見えるのか)

人類が小さいものを道具で見ようとしたのは、2000年前の哲学者ルキウス・アンナエウス・セネカが始まりだとされています。というのも、セネカが水晶玉で文字が拡大して見えることを記録していたのです。現在では虫眼鏡が顕微鏡といった多くの器具で人は小さいものを見ようと中で、どれくらい小さいものが見えるのかを解説します。

理科室の顕微鏡

多くの人が「小さなものを見る道具=顕微鏡」と考えるのではないでしょうか。顕微鏡は16世紀末に開発され、科学の発展に大きく貢献してきました。例えば人の目の分解能は0.1mmに対して、小学校の理科室などに置いてある光学顕微鏡の分解能は1μm(100万分の1メートル)が限界なのです。これは私たちの細胞の中にあるミトコンドリアの大きさに相当します。可視光を使う光学顕微鏡ではこれが限界で、ミトコンドリアの内部構造を見ようとすると、可視光よりエネルギーが高い(波長が短い)波を使う必要があるのです。

電子顕微鏡

可視光よりエネルギーが高い(波長が短い)波を利用したのが電子顕微鏡です。電子顕微鏡では文字通り「電子の 波」を使います。光に波と粒子の両方の性質があるのと同様に、実は電子にも波と粒子の両方の性質があるのです。この性質を利用した電子顕微鏡は、0.1nm(100億分の1メートル)の分解能になります。これはヘリウム原子の直径に相当します。

LHC(大型ハドロン衝突型加速器)

電子顕微鏡よりさらにエネルギーが高い(波長が短い)波を利用したのがLHC(大型ハドロン衝突型加速器)です。LHCとはスイス・ジュネーブ郊外の地下に設置された全周26.7kmほどの装置です。2012年にヒッグス粒子の発見した際には、陽子を光速の99・999999パーセントまで加速することで、0.1z(1000京分の1メートル)という分解能を達成しています。これが現在考えられる「世界最高精度の顕微鏡」なのです。

走査型トンネル顕微鏡

LHCほど小さいものは見れませんが、走査型トンネル顕微鏡という面白い原理を利用した顕微鏡があります。走査型トンネル顕微鏡はトンネル効果という「物質が本来乗り越えられないエネルギーの壁を乗り越えてしまう現象」を利用して、物体の凹凸を調べるのです。
走査型トンネル顕微鏡には太さ約10nmの針がついており、その針を電極につながれた物体の表面すれすれまで近づけて、針を物体の表面に沿ってスライドさせます。針と物体の間は空気(絶縁体)なのでエネルギーの壁が高いですが、こちらもフラッシュメモリの原理と同様にトンネル効果が働くため、エネルギーの壁を乗り越えて電流を流すことができるのです。針と物体の距離が近いほどトンネル効果が起こる可能性が高くなるので、電流値を測定することで物体の凹凸(針と物体の距離)を測定することができます。

観察の限界

今までの解説のように、加速器のエネルギーをどんどん高くしていくと、いくらでもミクロな世界が 観測できるように思えます。しかし、加速器のエネルギーをどんどん上げていくと、どんどん「重いもの」が生まれ、極端に「重いもの」が生まれると、そこにブラックホールができてしまうのです
ブラックホールは、光さえ飲み込みこんでしまう「事象の地平線」という表面を持っています。せっかく超高エネルギーの加速器を使っても、そこにブラックホールができてしまい、事象の地平線でもはや何が起きているのか観測することができなくなるのです。しかし、LHCでブラックホールを作ろうとすると1京倍のエネルギーが必要になり、その時の分解能は1澗分の1メートルという聞いたことの無い単位となります。これはプランク長さと呼ばれ、これ以上小さなものは理論上観測することはできません。

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