【宇宙】インフレーションとは|証拠や原因を解説

【宇宙】インフレーションとは|証拠や原因を解説 宇宙

「インフレーションって何? インフレーションって証拠があるの? インフレーションの原因が知りたい。 物理学って何だか難しそうだな…」

こういった疑問に物理学修士の筆者が答えます。

結論

インフレーションとは物理学者佐藤勝彦(1945-)とアラン・グース(1947-)によって提唱された、宇宙でビッグバンが起こる少し前に発生した宇宙空間の急速膨張のことです。詳細は本記事にて解説します。

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本記事の内容

インフレーションとは

インフレーションとは

インフレーションとは物理学者佐藤勝彦とアラン・グースによって提唱された、宇宙でビッグバンが起こる少し前に発生した宇宙空間の急速膨張のことです。誕生したばかりの宇宙は原子(0.1nm)より小さかったのですが、インフレーションが起きると一瞬で3mmほどまで大きくなりました。
ビッグバンモデルでは、モノポールや宇宙ひもと呼ばれる位相欠陥が問題になっていましたが、インフレーションをビッグバンモデルに組み込むことで、問題が解決できるのです。
ここではインフレーションについて「1.インフレーションの証拠」、「2.インフレーションの原因」、「3.インフレーションの原因の証明」をそれぞれ解説します。

1.インフレーションの証拠

「なぜインフレーションが起きたとわかったのか」というと、「宇宙背景放射の温度がほぼ均一だからわかった」のです。宇宙背景放射とは宇宙のあらゆる方向から降ってくる電磁波で、温度を持っています。宇宙のあらゆる方向からやってくるということは、宇宙誕生直後(148億年前)に発生した宇宙背景放射が宇宙が膨張する速度に追いついて地球にやってきたことを意味します。宇宙誕生直後は超高温でしたが、空間が膨張すると電磁波が引き延ばされて温度が冷めるので、地球にやってくるころには-270℃まで冷えています。ここでポイントのなのが「①-273.14℃(絶対零度)ではない」、「②-270℃だが宇宙背景放射によって少し温度に違いがある」ことです。
「①-273.14℃(絶対零度)ではない」に関しては、宇宙誕生直後にビッグバン(宇宙が超高温高密度の状態)があって、宇宙が膨張するにつれてだんだん温度が冷えた結果、現在の地球に-270℃まで冷えた宇宙背景放射がやってくるのだと結論づけられるのです。
「②-270℃だが宇宙背景放射によって少し温度に違いがある」に関しては、ビッグバンより前にインフレーションが起きたため、エネルギーの偏りがなくなったが、エネルギーの揺らぎが少し残ったことを表しています。もしエネルギーの偏りがあったら、宇宙背景放射の温度は色々な値を取れました。しかしほとんどの宇宙背景放射がだいたい-270℃であることからエネルギーの偏りを無くすような現象(インフレーション)が発生したに違いないと結論づけられるのです。簡単にいうとインフレーションというアイロンをかけて、宇宙空間が伸ばされたため、エネルギーの偏りというしわも伸ばされたのです。じゃあなぜ宇宙背景放射の温度が全て全く同じ値じゃないかというと、時間とエネルギーの不確定性によるものです。量子力学で扱うようなミクロな世界では、時間が限りなく短いとエネルギーは色々な値をとることができるのです。なので折角インフレーションによってエネルギーを均等にして(アイロンをかけて)も不確定性によるゆらぎからエネルギーの若干の偏り(しわ)が発生したのです。

高校物理で「エネルギー保存則」を習った人も多いのではないでしょうか。エネルギー保存則では位置エネルギーや運動エネルギーといったあらゆるエネルギーは保存されるという法則です。しかし、量子力学で扱うようなミクロな世界ではエネルギー保存則は当てはらないのです。先ほどの時間とエネルギーの不確定性では時間が限りなく短いとエネルギーは色々な値をとることができました。つまり、エネルギーは保存されず、急に発生したり、急になくなったりするのです。なので量子力学でエネルギー保存則はしばしば破られるのです。

2.インフレーションの原因

ニュートリノという素粒子(これ以上分解できない小さな粒)の超対称性粒子がインフレーションを起こしたとされています。超対称性粒子とは普通の素粒子のスピン1/2ずれている粒子で存在が予言されていますが、まだ発見されていません。このニュートリノの超対称性粒子は宇宙誕生直後、エネルギーが高い状態でした。しかし、この粒子のエネルギーが低い状態に落ちた際の、エネルギーの高低差が空間を膨張させるエネルギーを生み出したのです。

3.インフレーションの証明

インフレーションモデルは実はまだ証明されていません。インフレーションを証明する方法として「加速器での衝突実験」、「重力波を探す」というものが期待されています。

加速器での衝突実験

「加速器での衝突実験」で有名なのがLHCと呼ばれる陽子2つを光の速さくらいで加速して衝突させる実験装置があります。光の速度くらいまで加速させて衝突させるということを膨大なエネルギーが発生するため、宇宙初期の超高温高密度な状態を再現できるのです。これが再現できるとインフレーション証明のきっかけとなるのです。

重力波を探す

「重力波を探す」について、まず重力波は重力を発生させる物質にの周りに現れる波で、インフレーションが起こった際にも時間と空間の間に波ができたとされています。インフレーション時代の重力波はまだ残っているとされており、2009年にヨーロッパのチームが打ち上げたプランク衛星などが観測を行ってしまいます。しかし、重力波は宇宙背景放射に比べて非常に弱く、みつけるのが非常に困難なのです。

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