
「宇宙人はなぜ地球に来ないの? ドレイクの方程式って何? 宇宙に制限速度があるって本当? 物理学って何だか難しそうだな…」
こういった疑問に物理学修士の筆者が答えます。
結論
ドレイクの方程式によると、宇宙には10種類の高度な文明を持った宇宙人が存在しますが、光速度(秒速約30万km)という制限速度があるため、宇宙人が地球に来ることはできないのです。詳細は本記事にて解説します。
本記事の参考文献
本記事の内容
宇宙人はなぜ地球に来ないのか

前述したように、ドレイクの方程式によると、宇宙には10種類の高度な文明を持った宇宙人が存在しますが、光速度(秒速約30万km)という制限速度があるため、宇宙人が地球に来れません。ここでは「1.ドレイクの方程式」、「2.宇宙の制限速度」、「3.宇宙人はなぜ地球に来ない理由」、「4.ワームホール理論」をそれぞれ解説します。
1.ドレイクの方程式

ドレイクの方程式とはアメリカの天文学者フランク・ドレイクが提唱した「私たちの住む天の川銀河に何種類の宇宙人がいるかを数式で導き出せる方程式」で、上式のようになります。各定数は学者によって意見が分かれていますが、ドレイク自身はこの方程式の解として10種類の宇宙人がいることを示しました。
N=R*×fp×ne×fl×fi×fe×L
- N…天の川銀河に存在する恒星間通信が可能な高度文明の数
- R*…天の川銀河で恒星が誕生する速度(誕生する恒星の数/年)
- fp…恒星が惑星系を持つ割合
- ne…ある恒星の惑星系の中でハビタブル惑星の数
- fI…その惑星で生命が誕生する割合
- fi…誕生した生命が知的生命まで進化する割合
- fe…知的生命の文明が他の惑星系と交信を行えるまでに発展する割合
- L…高度文明の寿命
2.宇宙の制限速度
宇宙の制限速度が光速度(秒速約30万km)である理由はアインシュタインの特殊相対性理論E=mc2が関係しています。Eはエネルギー、mは質量、cは光速度を表しており、cはここでは無視します(物理学では光速度cやプランク定数hは宇宙共通の定数なので1と置くことがあるのです)。つまりE=mとすると、エネルギーと質量は同じものと考えられます。例えば太陽は1秒間に50億kg軽くなって私たちを温めてくれている(エネルギーを放出する)のです。
あらゆる物質は光の速度に到達すると、エネルギーが無限大になり、エネルギーが無限大ということはE=mより質量も無限大になります。そして質量が無限大の物質はいくら力を加えても全然加速できないのです。なのであらゆる物質は光速以上の速度で走ることはできません。
3. 宇宙人が地球に来ない理由
宇宙人が地球に来ない理由はご近所の宇宙人でも地球に来るのに片道1万年もかかってしまうからです。私たちの住む天の川銀河の直径は10万年です。もし10種類の宇宙人が等間隔で住んでいたら、お隣の宇宙人が住む星と地球では1万光年も距離があることがわかります。さらに宇宙には制限速度があるため、どんなに急いでも地球へは片道1万年もかかってしまうのです。1万年もあれば十分に文明が滅びる年数です。またもし宇宙人が地球に来て自分の星へ帰ったら今度は自分の星の文明がなくなっているリスクが十分にあるからです。もし宇宙人が資源を欲しがっていたり、違う星に移住するのであれば、地球に似た星は天の川銀河には無数にあるのでわざわざ地球にくるメリットがないのです。
4.ワームホール理論
宇宙に制限速度があるならワームホールを使えばいいんだという人もいます。ワームホールとは超空間の抜け道でドラえもんのどこでもドアのようなものです。これがあれば遠い星に住んでいる宇宙人も地球にくることができると信じている人もいるでしょう。しかし、ワームホールはオカルト科学なのです。例えばワームホールを作るにはエキゾチック物質と呼ばれる質量が負の物質が必要になります。質量が負の物質はこの世のどこにもなく、ただエキゾチック物質があれば理論上矛盾しないという空想の物質なのです。簡単にいうと「もし魔法が使えたら隣の星までいけるのにな」といったようにエキゾチック物質はあくまで妄想であり、科学的ではないです。
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